【英語のOS:第0章】全ての基本!容疑者リストの「仲間分け」
なぜ`You like…`はOKで`Like you…`はダメなのか?
全ての英語の「骨格」が見えるようになるための、最初のミッションだ。
「単語の置かれる場所が、その単語の役割と意味を決める…」
君は今、英語の最も根源的なルールを手にした。
だが、君の鋭い目は、新たな謎を見つけ出しているはずだ。
「そもそも、単語によってどの場所に置かれやすいという特徴はあるのか?」
「場所によって意味が決まってしまうなら、単語の意味を覚えても無駄なのか?」
素晴らしい疑問だ。ここからが、このメソッドの真骨頂だ。
確かに、英単語はどんな役でもこなせる「カメレオン俳優」のようなものだ。
しかし、どんな名優にも「当たり役」というものが存在する。
俳優の松平健さんと聞けば、多くの人が「暴れん坊将軍」を思い浮かべるだろう。たとえサンバを踊っていても、だ。
それと同じで、英単語にも「最もよく使われる、デフォルトの役柄」というものが存在する。
我々は、場所による英語の特別な使い方に気づくためには、まず「平常時(デフォルト)の状態」を知っておく必要がある。
だから、この第0章のミッションはこれだ。
【第0章のミッション】
単語の「デフォルトの役柄」を見抜く訓練と、英語の絶対的な語順(型)を知ること。
ミッション1:容疑者の「デフォルトの役柄を見抜け!」「キャラクター」か「ワザ」か?
まずは、いくつかの単語の「最もよくある姿」が、どちらのチームに所属しているかを見抜く訓練から始めよう。
これが基本の「顔認証」だ。
英語の単語たちは、大きく分けてこの2つのチームのどちらかに所属していることが多い。
キャラクターチーム(名詞)
- 役割: モノ・人・場所の名前。物語の主人公や登場人物になるやつらだ。
- 例:
- book (本)
- fire (火)
- park (公園)
【探偵メモ:英語OSの、密かな「クセ」】
実を言うと、英語OSは、この世界で起きること全てを、「キャラクター(モノ)」がどう動くか、という視点で捉えようとする、根っからの『モノ好き』なんだ。
我々日本語OSが、流れるような『出来事(コト)』〔ワザ〕に注目するのとは、少しだけ世界の"見え方"が違う。
この話は、今はまだ「へぇ、そうなんだ」と、頭の片隅に置いておくだけでいい。
だが、覚えておけ。
この英語OSの奇妙な「モノ好き」のクセこそが、後々の捜査で、数々の難事件を解き明かす、重要な鍵となるだろう。
ワザチーム(動詞)
- 役割: 動きや状態。キャラクターが繰り出すアクション(技)のことだ。
- 例:
- run (走る)
- study (勉強する)
- play (遊ぶ、演奏する)
どうだ?
今はまだ、君がこれまで学校で習ってきた知識のままでOKだ。
「これはモノの名前か?それとも動きか?」と考えるだけで、直感的に仲間分けができるはずだ。
さあ、理屈は分かったな。ここからは実践訓練だ!
【探偵訓練ドリル①】 容疑者の顔を見抜け!
これから見せる容疑者(単語)たちが、デフォルトでキャラクター、ワザのどちらのチームに所属しているか、判別して欲しい。
答えはストライプ模様の部分をクリック(タップ)すると表示されるぞ。
1. desk → キャラクター(「机」というモノの名前だから)
2. sing → ワザ(「歌う」という動きだから)
3. water → キャラクター(「水」というモノの名前だから)
4. listen → ワザ(「聞く」という動きだから)
5. teacher → キャラクター(「先生」という人の名前だから)
6. go → ワザ(「行く」という動きだから)
7. music → キャラクター(「音楽」というコトの名前だから)
どうだ? 全問正解できたはずだ。
君が中学で必死に覚えたあの単語リストは、まさにこの「デフォルト役」の一覧だったんだ。
だが、我々が知りたいのは、彼らが「いつもと違う役」を演じた時…。その準備はできた。いよいよ本題に入ろう。
ミッション2:ワザの「種類」と「基本の型」を叩き込め!
仲間分けができるようになったら、いよいよ英語の組み立て方を見ていこう。
まず、英語は、ワザ(動詞)を中心に文を組み立てる。
そして、この「ワザの性質」には、大きく分けて2つの種類があることを確認しよう。
ワザの種類①:自己完結タイプ(パワーが自分に向かうワザ)
その動きを行う一人だけで完結できる、内向きのワザだ。
例えば、「走る(run)」「眠る(sleep)」「笑う(smile)」。
これらのワザは、誰も「相手」を必要としない。一人でできる。
このタイプのワザを使う時の基本の型は、これだ。
【基本の型1】 キャラクター → ワザ
- I run. キャラ→ワザ(私→走る)
- He smiled. キャラ→ワザ(彼→微笑んだ)
シンプルだな。キャラクターが、ただワザを繰り出す。それだけで文が完成する。
ワザの種類②:パワーが外に向かうタイプ(相手に攻撃するワザ)
一方、もうひとつのワザは、そのパワーや影響が、自分以外の「相手」に向かって飛んでいく、外向きのワザだ。
例えば、「好む(like)」「作る(make)」「食べる(eat)」。
これらのワザは、必ず「何を?」あるいは「誰を?」という、パワーを受け止める「相手役のキャラクター」がいないと意味が成り立たない。
- 「私は好きだ」 → (何を?)
- 「彼女は作った」 → (何を?)
- 「彼が食べる」 → (何を?)
そう、このタイプのワザを使う時の基本の型こそ、英語で最も多く使われる最強の型なんだ。
【基本の型2】 キャラクター → ワザ → 相手役キャラクター
likeの事件で見た文を思い出そう。
You like lions. キャラ→ワザ→相手役キャラ(あなた→好き→ライオン)
この文は、まさにこの型だ。
You(君)というキャラクターの心が、like(好き)というワザになって、lions(ライオンたち)という相手役に向かってパワーを発しているんだ!
全ての英語の文(全体の8割から9割)は、この2つの基本の型のどちらかを骨格にしている。
「キャラクター → ワザ」
「キャラクター → ワザ → 相手役キャラクター」
この2つのシンプルな構造を頭に叩き込んでくれ。これが、英語の世界の物理法則だ。
【探偵訓練ドリル②】 基本の型を使いこなせ!
言うは易し。行いは難し。
ということで、君が本当にこの「物理法則」を理解したか、確認していこう。
これから、バラバラになった「容疑者(単語)カード」と、2種類の「英語の型」を見せる。
君のミッションは、カードを正しい場所に配置して、意味の通る「英文ブロック」を完成させることだ。
使える2種類の【英文の型】
型1: [キャラクター] → [ワザ]
型2: [キャラクター] → [ワザ] → [相手役キャラクター]
【容疑者カードの山】
FILE.1 ウォーミングアップ
【事件】 「鳥が飛ぶ」という英文を創作せよ。
【推理】
カードの山から、どのカードをピックアップすべきか?
そして、どちらがキャラクターで、どちらがワザか?
ヒントはカードの色にある。思い出せ、第0章の前半で学んだはずだ…。
組み立て結果を見る。
【組み立て方法】「鳥(birds)」は青い文字のキャラクターカード、「飛ぶ(fly)」はピンクの文字のワザカードを使っていく。
飛ぶという動作は一人でもできるから、型1 [キャラクター] → [ワザ]を使えばいい。
【正解】Birds fly.
カードの山から正しく容疑者を特定し、組み立てられただろうか?
FILE.2 本番
【事件】 「あなたはピアノを弾く」という英文を創作せよ。
【推理】 訓練1と同じように、ワザの使い方に注意しながら、カードの山から単語をピックアップして並べよ。
組み立て結果を見る
【組み立て方法】今回はカードが3枚必要になる。
まずは、「弾く(play)」というワザのカードを選択。「弾く(play)」という動作は、パワーが外に向かうタイプだ。
つまり、「何を?」という相手役が必要になる。
となると、使うべきは 型2 [キャラクター] → [ワザ] → [相手役キャラクター] となる。
【正解】You play the piano.
あなたの弾くというパワーがピアノに向かうイメージだ。
FILE.3 最終テスト
さあ、残ったカードはこれだけだ。
【事件】これらのカードを使って、2つの意味のある文を組み立ててみよう。
【ルール】 ただし、Iのカードは特別だ。2回まで使えると考えていいぞ。
【推理】
ワザamは特殊な「状態変化(イコール)」を表すワザだぞ。
ワザlisten toは「~を聴く」という、相手役を必要とするワザだ。
組み立て結果を見る
【組み立て方法】残ったカードはI, am, music, listen to, a geniusの5種類だ。
ルールにより、Iのカードは2回使える。
ワザの性質を分析する:
am:これはbe動詞の仲間で、特殊な「状態変化(イコール化)」のワザだ。
[キャラクター] → [am] → [キャラクターの状態や存在] という型で使うはずだ。
listen to:「~を聴く」という意味の、パワーが外に向かうワザだ。
「何を?」という相手役を必要とする。
[キャラクター] → [listen to] → [相手役キャラクター] という型になるだろう。
最適な組み合わせを探る:
「状態変化」のワザamと組み合わせられるのは、「天才」という状態を表すa geniusしかないな。
主役はIだ。これで1つ目の文が見えた。
「相手役」を求めるワザlisten toと組み合わせられるのは、「音楽」という相手役musicだ。
主役はもう一度Iを使おう。これで2つ目の文も確定だ。
【正解】
- 再現1: I am
a genius. (私=天才。)
- amという特殊なワザを使いこなし、キャラクターIと、その状態a geniusをイコールで結びつけた。完璧な状態定義だ。
- 再現2: I listen to
music. (私→聴く→音楽)
- listen toというワザのパワーが、Iからmusicという相手役に向かむ、そんなイメージを表す。
これで全ての確認が完了した。君はもう、英語の基本的な「型」を完全に理解したと言っていいだろう。
さて、君は「キャラクター」と「ワザ」、そしてその「基本の型」を学んだ。
これで、平常運転の文の構造は、ほぼ見抜けるようになった。
だが、ここからが本当の事件の始まりだ。
もし、デフォルトで「キャラクター(本)」役のはずの book が、「ワザ」の席に座ったら、一体どんな「パワー」が生まれるというんだ…?
We book a table.
単語の丸暗記では絶対に解けない、この暗号。
「私たち 本 テーブルを…?」
なぜキャラがワザの位置に?このあり得ないはずの場所になぜ本が??
その謎を解く鍵は、たった一つ。
―――単語が置かれた『場所』。
さあ、次の第1章で、その本当の力を解き放つ時だ。


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